2026年6月17日発

© UNICEF/UNI680216/Naftalin
今から30年前、「すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)」の登場は、栄養不良に苦しむ子どもたちの治療法を大きく変え、公衆衛生の分野において大きな成果を残しました。2000年代に入ると、5歳になる前に予防可能な原因によって命を落とす子どもの数は、半数にまで減りました。RUTFは、紛争の続く地域や人里離れたコミュニティを含め、世界中で何百万人もの命を救い、この進歩を支えてきました。
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RUTFは毎年900万人を超える子どもたちのもとに届いています。
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これほどの成果が実現したのは、各政府や支援者からの、子どもの栄養を最優先に考えた粘り強い支援があったからです。
ここでは、世界で最も効果的な保健分野の取り組みとされるRUTFについて、そして、RUTFをより多くの子どもに届けるためになにが必要なのかをご紹介します。
RUTF:すぐに食べられる栄養治療食
RUTFとは、Ready-to-Use Therapeutic Foodの略で、日本語では「すぐに食べられる栄養治療食」と呼ばれます。RUTFは、栄養価の高いペースト状の治療食で、ピーナッツ、砂糖、粉ミルク、油脂、ビタミン、そしてミネラルが含まれており、これまでに、深刻な栄養不良で命の危険にさらされた何百万人もの子どもたちの治療を支えてきました。また、人道支援の現場では、中程度の栄養不良にある子どもたちの回復を後押しするためにも活用されています。
子どもの消耗症
子どもの消耗症とは、子どもが身長に対して極端に痩せている状態を指し、子どもの栄養不良の中で、最も命に関わる深刻なものです。消耗症とその他の急性栄養不良は、母親の栄養不良や、低体重での出生、不適切な授乳や育児、感染症など、さまざまな要因が重なって引き起こされます。このような問題は、食料不足や、安全な飲み水への限られたアクセス、貧困によってさらに深刻化しているのです。消耗症に苦しむ子どもたちは、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなるほか、成長や発達も遅れ、命の危険にもさらされます。
2024年時点で、4,280万人の子どもたちが消耗症であり、そのうち1,200万人以上が重度の消耗症で命を脅かされています。
RUTFを使った治療はなぜ効果的?
RUTFはすぐに使える医療用の栄養食品として、アルミ製の小袋に入っています。未開封で2年間保存でき、開封後であっても常温保存が可能です。調理をする必要も、水と混ぜる必要もないので、安全な水が手に入らない状況下で、子どもたちが汚染された水を口にしてしまう心配もありません。安全性が高くて扱いやすく、袋を開けてそのまま口にできる手軽さも大きな特徴です。
RUTFの登場により、合併症のない重度の消耗症の子どもたちの治療の形は、病院中心から家庭中心へと大きく変わりました。長期間の入院は必要なく、週1回の外来診療を受ければ、自宅で回復を目指すことができるようになったのです。こうして治療を受けられる子どもの数は大幅に増え、回復率も90%以上にのぼっています。
そしてなにより、子どもたちはRUTFの味が大好きなのです。
RUTFはどこから?
ユニセフは世界各地の20以上の仕入れ先からRUTFを調達しており、主に重度の消耗症の子どもが多い国や、その周辺地域で生産を行っています。現地で生産することにより、緊急時に迅速に対応できるだけでなく、輸送による環境への負担を軽減することや、雇用機会を生み出し、経済成長を支え、安定した供給を確保することにも繋がっているのです。
地域に根ざした製造体制が健全に機能することで、より多くの子どもの命を救うことができます。
ユニセフが担う役割

© UNICEF/UN0848571/Assefa
エチオピアのヘルスワーカーからRUTFを受け取り、嬉しそうな様子の娘を抱く、母親のアミナ
ユニセフは、国連の5機関が策定した枠組みである、子どもの消耗症に関する世界行動計画を主導し、世界中の栄養不良の子どもたちにRUTFが行き渡るよう、中心となって取り組んでいます。パートナー団体や、各国政府と協力しながら、治療プログラムでのRUTFの活用を広げ、遠く離れた地域や紛争や災害の影響を受けた地域に暮らす家族にも支援が届くよう活動しています。また、世界最大のRUTF調達機関であるユニセフは、毎年およそ10億袋ものRUTFを子どもたちに届け、何百万人もの子どもたちの栄養不良からの回復を支えているのです。
ユニセフの取り組みは供給だけにとどまりません。各国の制度の中で、消耗症に苦しむ子どもたちの治療と支援にRUTFを組み込めるよう、取り組みを進めています。具体的には、国の政策や技術的な基準づくりの支援、保健・医療従事者の研修や、供給体制の強化、そして地域に根差した医療を広げ、子どもたちがより自宅から近い場所で治療を受けられるようにしているのです。
さらには、より持続可能で、現地でも生産できるRUTFの開発を進めるなど、イノベーションにも力を入れています。ピーナッツの代わりにひよこ豆や大豆といった代替原料を使った新しいレシピの開発や試作も行い、特に必要とされている国々での生産力の強化を目指しています。
子どもたちの命を消耗症から守るために
RUTFをさらに多くの子どもたちに届けるとともに、栄養不良の根本的な原因解決にも取り組むことが、子どもたちの健やかな成長に繋がります。
ユニセフは、各国政府、パートナー、支援者に対して次の行動を呼びかけています。
・栄養不良を未然に防ぐ
妊娠中・授乳期の栄養改善、母乳育児の支援、胎内にいる時から2歳の誕生日までの子どもの「人生最初の1000日」における適切な補完食へ投資。
・現地生産の強化
重度の栄養不良が多い国や地域で、RUTFの国内・地域生産に投資し、生産能力を高めることを目的とします。これによりコストを削減し、緊急時にも子どもたちに迅速にRUTFを届けることができるようになるのです。
・新たな取り組みの導入
新しい栄養配合や技術の導入、支援プログラムの改善は、治療をより効果的で手頃なものとし、さまざまな状況におかれた子どもたちに適したものにするために欠かせません。
・他の機関と連携した資金調達
消耗症に苦しむ子どもや、支援を必要とする子どもに支援を届けるために、栄養分野での安定した資金の確保、他機関との連携が不可欠です。
・早期に対応できる、より強固で一体的な仕組みを構築する
子どもたちが、栄養価が高く手頃な価格の食事や、安全な水、衛生・保健サービスにアクセスできるようにし、家族をさまざまな危険から守る社会的保護制度を整備する必要があります。


























