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プレスリリース

気候変動が変えた子どもたちの生活
安全、教育、健康が危機に直面
ユニセフ、最新報告書で警鐘

2026年6月16日ジュネーブ

ユニセフ(国連児童基金)の水と衛生・気候・環境に関するデータ分析チームを率いるトム・スレイメーカーは、ユニセフが「子どもの気候リスク報告書2026年版」の中で明らかにした、気候変動が子どもに及ぼしている影響の現状について、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見において、以下の発言を行いました。

洪水により橋が壊れたため、通学のために川を泳いで渡る15歳のローナさん(パプアニューギニア、2026年3月10日撮影)

© UNICEF/UN0864770/Paul
洪水により橋が壊れたため、通学のために川を泳いで渡る15歳のローナさん(パプアニューギニア、2026年3月10日撮影)

気候危機下での子どもたちの生活

想像してみてください。学校に通うために、流れが早くワニが生息している川を、子どもたちが泳いで渡らなければならないという状況を。

それが、パプアニューギニアに暮らす15歳のローナさんとそのクラスメートたちの日常の現実です。彼らの家と学校をつなぐ橋が洪水で壊され、川を安全に渡る手段がなくなってしまったのです。それでも、学校での学びを諦めるという選択肢はないので、生徒たちは教科書や制服をバケツに入れ、危険な川を泳いで渡っているのです。

こうした子どもたちにとって、気候変動の影響は、非現実的なものでも将来の懸念でもありません。授業を受けるために命を危険にさらさざるを得ない、という現実にほかなりません。

ユニセフは、この気候変動の影響という現実がどれほど広範に及んでいるかを示す、新たな分析結果を、本日公表しました。

干ばつの被害により干上がった畑に座る男の子(パキスタン、2025年5月5日撮影)

© UNICEF/UNI972847/Palazón
干ばつの被害により干上がった畑に座る男の子(パキスタン、2025年5月5日撮影)

現在、世界中のほぼすべての子どもが、洪水、干ばつ、熱帯低気圧、あるいは極端な高温といった気候ハザードの少なくとも1つにさらされています。しかし、世界的に見てとりわけ懸念されているのは、多くの子どもが複数の脅威が重なる状況に直面していることです。

データによると、世界の子どものほぼ半数、すなわち11億人が、少なくとも3つの気候ハザードにさらされています。地域によっては、子どもたちは最大で6つの気候ハザードに直面しています。

このように、複数の気候ショックが重なり、その影響が増幅することで、子どもたちの生活は根本から変えられつつあります。

例えばアフリカのサヘル地域では、すでに何百万人もの子どもが、極端な高温、干ばつ、砂塵嵐といった気候ハザードに、同時に直面しています。バングラデシュ、ミャンマー、パキスタンといった国々では、子どもたちは世界のほぼどの地域と比べても、より深刻で、より多くの気候ハザードにさらされています。また、ハイチやバヌアツのような小島嶼国では、たった一度の暴風雨が一夜にして社会システム全体を機能不全に陥らせかねません。

これは将来起こりうる事態への警告ではありません。今、直面している現実を明らかにしているのであり、子どもたちにとって状況がどれほど悪化する可能性があるのかを示すものでもあります。

急性下痢症の治療を受ける7歳のケンソンさん。ハリケーンの後、コレラや下痢に苦しむ人が増えている(ハイチ、2025年11月8日撮影)

© UNICEF/UNI902491/Joseph
急性下痢症の治療を受ける7歳のケンソンさん。ハリケーンの後、コレラや下痢に苦しむ人が増えている(ハイチ、2025年11月8日撮影)

気候ハザードが重なると、その影響は増幅します。例えば、干ばつは子どもたちに飢えや栄養不良をもたらす恐れがあります。その状態に続いて洪水が発生すれば、水源が汚染され、コレラなどの感染症が広がる恐れがあります。一つの気候危機が、次に続く気候危機をいっそう危険なものにするのです。

子どもたちは、次の気候危機に見舞われる前に、前の危機から立ち直れるとは限りません。先ほど触れたパプアニューギニアの子どもたちは、川を泳いで学校に通うことで、気候変動による一つの危機に適応していました。しかし、次の気候危機が訪れ、洪水で水かさが増し、川の流れがさらに速くなり、危険な通学路が命取りになったとしたら、どうなるのでしょう。 

気候リスクの影響を受けていない国などありませんが、紛争の影響を受けている地域、たとえば中央アフリカ共和国、チャド、ハイチあるいはスーダンの子どもたちのことを想像してみてください。保健ケア、栄養、水と衛生といった基本的なサービスの利用が著しく限られているため、通常なら致命的ではない程度の洪水や干ばつでさえ、彼らの命を危険にさらす可能性があります。

今日、世界では6億3,400万人の子どもが安全な飲み水を手にすることができず、10億人が安全な衛生設備を欠く環境に暮らしています。気候ハザードは、例えば5歳未満の子どもにとって主な死因の一つである下痢症のリスクを高めるなど、すでに脆弱な状況をさらに悪化させています。

2024年には、少なくとも2億4,200万人の子どもが、気候ハザードによって学校での勉強を中断せざるをえなくなりました。また、さらに多くの子どもが自宅からの避難を余儀なくされ、その結果、家族が離ればなれに暮らしたり、暴力や搾取に遭ったり、心的外傷を受けたりするリスクが高まりました。

気候危機を生じさせた原因に、子どもたちはほぼ関与していません。にもかかわらず、最も高い代償を払わされているのは彼らなのです。

ユニセフが目指すのは、子どもたちの置かれている状況をより明らかにし、最も緊急の対応が求められているのはどこなのかを示すことです。

子どもたちを守るために

ユニセフの最新報告書は、複数の気候ハザードに同時に見舞われる地域や、子どもたちが最も脆弱な状況にある地域を浮き彫りにすることで、各国政府がリスクの高い子どもを特定し、不可欠なサービスの強化に取り組むことを可能にします。こうしたことは、次のショックが訪れる前に子どもたちを守ることにつながります。

サイクロンによる洪水で浸水した道路を歩く親子(バングラデシュ、2025年7月10日撮影)

© UNICEF/UNI838973/
サイクロンによる洪水で浸水した道路を歩く親子(バングラデシュ、2025年7月10日撮影)

何が有効か、私たちは知っています。停電時でも子どもたちが学び続けられるよう太陽光発電を導入すること、地表の水源が枯渇した際には飲み水を地下水帯水層から確保すること、農業用水として水を再利用できるよう衛生システムを改良すること、そして熱帯暴風雨から子どもたちとその家族を守るための避難所を整備することです。

メッセージは明確です。気候変動は地球を変えるだけでなく、子どもたちをも変えているのです。

子どもに焦点を当てた緊急の気候行動を取らなければ、彼らが今日直面しているショックは一層強まるばかりです。しかし、適切な投資と政治的意思があれば、リスクを軽減し、システムを強化し、子どもたちが生き延び健やかに成長する機会を守ることができるのです。

* * *

■「子どもの気候リスク報告書2026年版(The Children’s Climate Risk Report 2026)」(英語)はこちら>

■「子どもの気候リスク報告書2026年版」発行に関する日本語のプレスリリースはこちら>

 

報告書からの抜粋 

□ 子どもの気候ハザードへの曝露の現状

□ 気候変動の影響を強く受けるリスク

□ 複数の気候ハザードが重なり、子どもたちが深刻な状況にさらされている

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

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