海外インターン体験記
| 氏名 | 井上 礼子 |
|---|---|
| 派遣先 | ヨルダン事務所 |
| 派遣期間 | 2025年7月~11月 |
2025年7月から4ヶ月間、ヨルダンの首都アンマンにあるヨルダン国事務所・子どもの保護セクションにてインターンシップをさせていただきました。
ヨルダンは、近隣諸国が紛争当事国でありながらも安定した平和を維持している国として知られています。総人口およそ1100万人のうち、合計約300万人は主にパレスチナとシリアからの難民で構成されており、人口あたりの難民数が世界で2番目に多い国です。また、総人口のうち、約40%は18歳未満の子どもたちが占めているとても若い国でもあります。ユニセフが近年行った調査によると、ヨルダンに暮らす8歳から17歳の子どもたちのうち、約75%が物理的な暴力を、約58%が心理的な暴力を、そして約27%が性的な暴力を経験していることが明らかになっています1。さまざまな環境下に置かれた子どもたちをあらゆる暴力から守ることはヨルダンの注力事項のひとつです。
ヨルダン国事務所の子どもの保護セクションはおよそ10名からなり、各人が幅広い業務エリアをそれぞれ担当していました。私は、主に国の制度に関する業務をリードしていたヨルダン人のスーパーバイザーのもと、ソーシャルワーカーの制度化や、ケースマネジメントシステムの統一化など、多数のプロジェクトに関わらせていただきました。
中でも特に取り組んだプロジェクトが、子ども・女性に対する暴力をなくすことを目的とした5年間の政府行動計画(National Action Plan)の策定です。2026年から2030年にかけて、政府機関をはじめとする関係ステークホルダーの具体的な目標や行動、予算分配、評価指標を定めた本計画は、およそ2年間にわたる準備プロセスを経て最終調整の段階にありました。私は計画そのものや関連書類のレビュー、翻訳、複数機関からのフィードバックの取りまとめなど、最終化に向けた補助業務を行いました。
さらに、後半期間にはある程度の裁量をいただき、計画の実行をリードすることとなる政府系機関に1人で出向き、担当者と二人三脚で様々な作業を行いました。とりわけ、今後5年間のモニタリングのために設定された数十に及ぶ評価指標ひとつひとつに対し、モニタリングデータを提供することとなる関係機関のマッピングを行い、継続的にデータを収集するためのガイドラインやデータモニタリングシートを作成しました。
また、インターンシップ期間を通じて、数多くの現場訪問にも同行させていただきました。ザータリ難民キャンプ、アズラック難民キャンプ、複数のマカニ・センター 、青少年更生センター2、性暴力を受けた女性のシェルター、孤児院、警察本部、警察署、救急病院、そのほか子どもたちのための様々なサービスを提供する多数の国内財団やNGO、複数の政府機関など、訪問した現場の数は20箇所以上に及びます。ユニセフが多くの関係者と連携しながらプロジェクトを実行している仕組みを深く理解できたことに加え、ユニセフ職員の一人ひとりが現場できめ細かく対応される姿は、今後の私のお手本となるもので、記憶に強く刻まれました。
また、スーパーバイザーがふと、これまでの長年にわたるご経験の中で、子どもの保護の取り組みにおいて実現したかったけれども様々な障壁によって達成できなかったことを話してくださることが何度かありました。そのときどきの時点で実現可能な最善の結果を手繰り寄せてきたスーパーバイザーの実体験を聞く中で、ユニセフが取り組む課題の難易度の高さに圧倒されつつ、公に語られるユニセフの活動は舞台裏での途方もないほどの様々な取り組みの集大成であるということ、またそういった取り組みのひとつひとつを着実に積み上げていく重要性を学びました。
最後になりますが、インターンシップの期間中、ヨルダン国事務所はもちろん、ときにヨルダン国事務所を超えて、現地の多くのユニセフ職員の方々に、生活面から日々の仕事、今後のキャリアに至るまで日々あたたかくサポートいただきました。このような大変貴重な機会と多大なるサポートをくださった日本ユニセフ協会、ヨルダン国事務所、現地ユニセフ職員の皆様に心より感謝申し上げます。
1 “NATIONAL STUDY ON VIOLENCE AGAINST CHILDREN IN JORDAN 2019-2020,” UNICEF, 2021.
2 「マカニ」はアラビア語で「私の居場所」という意味。学習サポートや心理社会的ケア、職業訓練など、シリア難民を含むヨルダンに暮らす弱い立場にある子どもたちのために様々な支援を行っており、ヨルダン各地に多数存在
ソーシャルワーカーの制度化について、関係ステークホルダーとともに具体的なトレーニング内容についてのワークショップを行っている様子。
アズラック難民キャンプ内にあるマカニ・センター入り口。
マカニ・センターでの子どもたちの約束事。「きれいを保とう」「活動に参加しよう」「みんなの意見を尊重しよう」など。
子どもの保護セクションの個性豊かな同僚たちと。送別ランチの様子。
写真:©日本ユニセフ協会
























