2025年11月26日キーウ(ウクライナ)発
本格的な戦闘が続く中、ウクライナでは今年だけで340を超える教育施設が損傷を受けるか、破壊されており、子どもたちの学びが妨げられるとともに教育を受ける権利が奪われています。ユニセフ(国連児童基金)は戦争下でも学校と子どもが教育を受ける権利は守られなければならない、と強く訴えています。

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ハルキウで、がれきと化した学校の前に立つ17歳のソフィアさん。将来の夢は、子どもたちの命を救う医師になること(ウクライナ、2025年8月16日撮影)
損壊した学校は累計2,800校
2022年2月の戦争激化以来、これまでに損壊した学校は累計2,800校に達しています。この数は国連が確認したもののみであるため、実際にはさらに多いと考えられます。

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ミサイル攻撃により被害を受けた、キーウにある学校の様子(ウクライナ、2025年7月31日撮影)
ユニセフのウクライナ事務所代表ムニア・ママサデは次のように述べています。「学校は、戦争下においても子どもたちが安全に学ぶことのできる保護された空間でなければなりません。危機的状況において、教育は子どもたちの命綱となり、日常感覚を取り戻す手段となります。学校は学びの場であると同時に、他の生徒や教師との交流を通じた子どもの全人的な発達を支え、さらに他の社会サービスを受けることのできる場所でもあります」
今学年度、ウクライナにいる460万人の子どもが本格的な戦闘が始まってから4学年目を迎えています。彼らは教育上の障壁に直面しており、攻撃が続く中、校舎が損傷を受けたり破壊されたりし、命が脅かされています。空襲警報により授業が中断させられます。多くの学校、特に前線地域の学校は、戦闘や適切な避難所の不足により閉鎖されたままとなり、約100万人の子どもがオンライン学習を余儀なくされています。
対面とオンラインの併用で学ぶ、または全面的にオンラインで学ぶ子どもたちにとって、教師や他の生徒と直接的な交流がないことは学習能力に影響を及ぼし、戦争がもたらす心理的影響を悪化させています。
「困難にもかかわらず、ウクライナに暮らす子どもたちは、学び続けようとしています。それが学校であれオンラインであれ、教室であれ避難所であれ。彼らは自分の夢を実現できる未来を望んでいます」(ママサデ代表)
教育を受ける権利を守る

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ミコライウにある地下シェルターに集まった子どもたち。ユニセフなどの支援により改修された地下シェルターで、3年ぶりに対面授業が再開された(ウクライナ、2025年9月1日撮影)
ユニセフは政府や現地パートナーと連携し、50万人以上の子どもが、最も効果的である対面での安全な学びを含む、インクルーシブな公式・非公式教育を受けられるよう支援し、補習教育を通じて学習の遅れを取り戻す手助けをしてきました。
今年は「安全な学校宣言」の採択から10年に当たります。これは、戦争下で子どもが教育を受ける権利を守り、教育の継続を支援し、学校の軍事利用を防ぐという世界的な取り組みです。
11月25日から26日にケニア・ナイロビで開催される「安全な学校宣言」に関する第5回国際会議において、ユニセフは各国政府、子どもや若者の代表などと共に、武力紛争下における子どもの教育を守るためのより良い方策について議論し、この世界的な取り組みをあらためて確認します。
戦争下において、学校を保護し子どもの教育を受ける権利を守ることは、選択の余地のあるものではなく、絶対的な責務です。ユニセフは、子どもたちおよびウクライナの未来への譲れない投資として、国際的なパートナーの皆さまに対し、同国の教育分野への支援を継続されるよう強く求めています。
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■「安全な学校宣言」の詳細(英語)はこちらでご覧いただけます。


























