2026年7月8日バンコク発
アジア9カ国・地域の上場企業1,399社を対象にユニセフが実施した調査により、多くの企業が人権に関する方針や公約を掲げている一方で、子どもへの影響を特定、測定、報告している企業はごく少数にとどまり、情報開示と実際の取り組みの間に大きな隔たりがあることが明らかになりました。

©UNICEF/UNI636920/Himu
子どもの権利とビジネス推進センター(The Centre for Child Rights and Business)と共同で作成した報告書『Making Children Count: Sustainability Reporting across Emerging Asia(子どもの存在を重視する:新興アジア諸国におけるサステナビリティ報告)』は、子どもが地域人口のおよそ3分の1を占める国が多いにもかかわらず、企業のサステナビリティ報告において依然としてほとんど可視化されていない実態を明らかにしています。
「アジアでは、企業によるサステナビリティ報告が世界のどの地域よりも急速に進んでいます。しかし、子どもの権利は依然として、企業の持続可能性を考える上で極めて重要でありながら、十分に報告されていない分野の一つです。この報告書は、私たちの前に大きな機会があること、そしてどこから行動を始めるべきかを示しています」ユニセフ・アジア太平洋地域事務所のサンジェイ・ウィジェセケラ代表はこのように述べています。
報告書によると、企業の約4社に3社が人権への取り組みを報告し、88%が社会貢献活動の一環として子どもに関連する地域活動を報告しています。一方で、子どもを事業上のステークホルダーとして特定している企業は20社に1社、事業活動が子どもに及ぼす影響を評価している企業は100社に1社にとどまっています。
こうした企業の表明と実際の取り組みとの隔たりは、この地域の子どもたちが直面する主要な課題に関わる分野で特に顕著です。気候変動、オンラインのリスク、栄養不良、児童労働、そして親の労働条件といった問題について、子どもへのリスクや重要な影響にどのように対応しているかを開示している企業はごく一部に過ぎません。
気候変動に関する戦略の中で子どもに言及している企業は全体のわずか2%でした。また、オンラインで子どもを保護するための措置を報告しているテクノロジー企業は10%未満であり、子どもを保護するためのマーケティング慣行の実施を約束している企業は全体のわずか3%にとどまっています。食品・飲料業界でも、そのような取り組みを開示している企業は12%に過ぎません。
児童労働については72%の企業が取り組みを表明しているものの、問題が発見された際の是正措置について説明している企業はわずか2%でした。また、サプライヤーによる慣行改善を支援している企業も3%にとどまっています。家族にやさしい職場づくりについては、比較的多くの企業が取り組みを報告しており、他の分野より状況は改善していますが、生活賃金に関する実質的な取り組みへの言及は依然として限られています。
「これらのギャップは、今日の子どもたちのウェルビーイングだけでなく、アジアの将来の労働力、生産性、経済成長、人間開発にも大きく関わる問題です。アジアが世界のESG基準の形成において主導的な役割を果たしていく中、子どもたちを見過ごさないようにする大きな機会があります。ユニセフは、企業の事業慣行や投資に子どもの権利を組み込むため、企業、投資家、そして各国政府と協力する用意があります」(ウィジェセケラ代表)
ユニセフは、すべての子どもにとってより持続可能で包摂的な未来を形作る意思決定、情報開示、基準において、子どもの存在が明確に反映されるよう、すべてのステークホルダーに対し、次の行動を呼びかけています。
■企業に
約束を実績へ~事業活動が子どもに及ぼす影響を特定、管理、報告するとともに、社会貢献活動を子どものニーズや事業が及ぼす影響と整合させること。
■各国政府および政策立案者に
子どもの権利を法律、政策、報告枠組みに組み込み、子どもの権利に配慮したビジネス慣行を社会の標準とすること。
■投資家および証券市場に
子どもに関するリスクや影響を企業の開示や評価・格付けに組み込み、子どもの権利をESGの主流課題の一つとして位置付けること。また、アジアの子どもの成長と発達に貢献する「チャイルドレンズ投資」を推進すること。
■保護者、消費者、子ども、若者に
自らの声や選択、日々の経験を生かし、企業に説明責任を求めるとともに、子どもたちをよりよく保護し支援するビジネス慣行の形成に参画すること。



























