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ストーリー

バングラデシュ
洪水で被災した家族に支援を届ける
気候危機に対応した、災害に強い井戸を

2026年7月15日バングラデシュ

©UNICEF/UNI789752/Mukut

イスラットちゃん(5歳)は母親のルナさんに手を伸ばし、ユニセフ支援物資の青い容器に入った汲みたての飲み水を受け取ります。イスラットちゃんの背は、井戸の台よりほんの少し高いくらいです。バングラデシュのフェニ地区に、ユニセフの支援を受けて建てられたこの掘り抜き井戸は、洪水時の水没や、水が汚染されたりするのを防ぐため、地上よりも約1メートル高い土台の上に設置されています。

©UNICEF/UNI789731/Mukut
バングラデシュ、フェニ地区フルガジユニオンにある、ユニセフの支援を受け設置された、災害に強い掘り抜き井戸から安全な飲み水を汲むルナさんと娘のイスラットちゃん。

2024年8月、過去30年で最大規模の洪水が、バングラデシュ東部を襲いました。200人の住民が共有していた地域の掘り抜き井戸は、洪水によってすべて使えなくなり、ルナさんの家のトイレも壊れてしまいました。

もともとあった掘り抜き井戸はつくりが浅く、地表近くの地下水を汲んでいたため、近くの簡易トイレや、土に含まれるヒ素の影響で、水質が汚染されやすい状態でした。そこに洪水が発生し、井戸が水没する被害が重なったことで、すでに安全ではなかった水が健康に深刻な影響をもたらすものにまでなってしまいました。こうした状況は、下痢やコレラ、皮膚病が広まるのにはうってつけの環境となったのです。

 

将来の災害に耐えられる井戸を

洪水の水が引くと、ユニセフはバングラデシュ政府と連携し、復旧に向けた取り組みを始めました。フェニやノアカリ、クミッラ、ラクシュミプール、カグラチャグリなどの被害の大きかった地域では、水場の消毒や、トイレの修理と床面のかさ上げ、配水設備の復旧、将来の洪水に備え、かさ上げした井戸台を備えた新たな掘り抜き井戸の建設がすすめられました。

 

新しく設置された掘り抜き井戸からは、前よりもきれいな水が出てきます。家からも近いので、こちらを使うようにしているんです。洪水が起きても水に浸からないように、高い位置に井戸を設置したのは、すごくいい判断だと思います。
ルナさん

 

©UNICEF/UNI789748/Mukut
ユニセフの支援を受けて設置された掘り抜き井戸を利用するイスラットちゃん。この井戸は、かさ上げされた土台の上に作られており、洪水の影響を受けやすい地域のために特別に設計された。

以前の浅い井戸と違い、ルナさんの家のそばの新しい掘り抜き井戸はさらに深く掘られており、安全で汚染されていない水を確保できるようになっています。そのため彼女は、汚染の心配なしに、この井戸で汲んだ水を、料理や飲み水に日常的に使えるようになりました。ユニセフはパートナー団体と協力し、洪水の被害を受けた地域で、同じように災害に強い井戸の設置を進めています。これにより、大変な状況にある家族が長期的に安全な水を使い続けられるようになるのです。

「我々の責任は、その場だけの復旧にとどまりません。将来の災害に耐えられる、より強い地域づくりにあるのです」ユニセフの水と衛生担当官のサレハ・ハトゥンは付け加えます。

もう助からないと思った

バングラデシュ東部、特にフェニ地区を中心に洪水が襲った際、ルナさんの住む村は十分な備えができていませんでした。「私の祖父母でさえ、あんな洪水は経験したことがありませんでした」とルナさんは振り返ります。

洪水が発生した際、水面が彼女の顎まで迫ってきていました。ルナさんと彼女の暮らす地域の人々にとって、これほど激しく、甚大な被害をもたらす洪水は、いまだかつて経験したことのないものでした。恐怖や空腹、水に襲われたときの混乱を、ルナさんは今も鮮明に覚えています。雨が何日間も絶え間なく降り続け、手入れされた農地は荒地へと変わり果ててしまいました。

 

「食べるものは何一つありませんでした。家畜の動物たちはもちろん、私たち人間ですら、食べ物を探すのに必死でした。子ども2人を連れて生き延びることも、避難所から戻ることもできないと思っていました」
ルナさん

 

家族は、横になる場所もほとんどないほど混み合った避難所に、身を寄せていました。癌を患っていた彼女の義父の容態はどんどん悪化し、洪水の3カ月後に亡くなってしまいました。

ルナさんは、ヌスラットちゃん(1歳)の母親でもあります。洪水が押し寄せたあと、ヌスラットちゃん、イスラットちゃんの2人の子どもに、せきや風邪、皮膚の発疹といった体調不良の症状が出ました。

彼女たちが住む村は、他の村々と同様に、洪水によって想像を絶するほどの被害を受けました。水は家や学校、コミュニティ全体に被害をもたらし、この地域で200万人以上の子どもたちの生活が脅かされました。

© UNICEF/UNI640687/Satu
2024年8月、ユニセフの緊急支援の一環として、移動式の水処理設備を用い、飲み水をコモルガンジ、モウルビバザール、シレットの村人に配っている様子。

ユニセフは災害が起きた直後から現場で活動を開始し、状況の把握と緊急支援にあたりました。浄水剤や給水タンク、安全な水、そして生活必需品の入った衛生キットを、支援を必要とする家族に提供しました。

「政府が管理する国内各地の施設に、ユニセフは予め支援物資を備蓄していたため、災害発生から72時間以内に緊急キットを届けることができました。これにより、子どもたちの命、そして女性や女の子といった最も弱い立場にある人々の尊厳を守ることができました」とハトゥン担当官は話します。

水と衛生・尊厳回復キット(5人家族向け)は、命を守るユニセフの緊急対応において、不可欠な支援の一つです。バングラデシュで起きたような危機下にあるとき、子どもたちとその家族が最低限の生活を送れるよう支えています。

© Bangladesh/2024/Mukut
ユニセフから支給されたおむつにより、ルナさんは娘ヌスラットちゃんの衛生状態をより適切に保てるようになった。

 

© UNICEF Bangladesh/2024/Mukut
ユニセフの水と衛生・尊厳回復キットには給水タンクも入っている。ルナさんはこれを使って毎日近所の掘り抜き井戸から水を汲み、飲み水を確保している。

 

© UNICEF Bangladesh/2024/Mukut
料理をする前に、水と衛生・尊厳回復キットに含まれる石けんを使って手を洗うルナさん。

 

「ユニセフ支援物資のキットの中には、2足のサンダル、おむつ、石鹸、水を入れる容器やおまる、爪切り、タオル衣類などが入っていました」とルナさんは話します。

洪水の被害を受けたルナさんの家は泥と砂だらけでした。早速、提供されたサンダルが役立ちました。そして、石けんは手洗いに、洗剤は衣服の洗濯に用い、おむつはヌスラットちゃんが、おまるはイスラットちゃんが使うことになりました。

こうした支援物資は、基本的な衛生環境を保つことが難しく、子どもたちが命に関わる感染症にさらされやすい緊急時において、家族が清潔な状態を保つのに役立っています。

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

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※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。

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