メニューをスキップ

プレスリリース

気候災害によって中断される学校教育
2025年は1.71億人超に影響 
暴風雨、洪水、熱波が3大要因

2026年9月10日ニューヨーク

ユニセフ(国連児童基金)は本日、2025年に、世界全体で1億7,100万人を超える数の就学前教育から後期中等教育(高等学校)までの年齢層の生徒、すなわち10人に1人が、気候災害によって学校教育の中断を余儀なくされたとする報告書を発表しました。

 

気候災害が1.71億人超に影響

サイクロンで教室が損壊し、校庭の木の下で学ぶ子どもたち。その後、ユニセフの支援により仮設教室が設置された(モザンビーク、2026年2月5日撮影)

© UNICEF/UN0895163/Franco
サイクロンで教室が損壊し、校庭の木の下で学ぶ子どもたち。その後、ユニセフの支援により仮設教室が設置された(モザンビーク、2026年2月5日撮影)

報告書「2025年に発生した気候災害による学校閉鎖の世界的概況(原題:Learning Interrupted: Global Snapshot of Climate-Related School Disruptions in 2025)」は106の国・地域のデータを分析したもので、暴風雨、洪水、熱波、干ばつ、森林火災といった気候災害が、授業の中止、校舎の損壊、遠隔学習への移行、授業時間の短縮、出席率の低下、そして中途退学リスクの増加を招き、世界中の何百万もの子ども・若者に影響を及ぼしたことを明らかにしています。

ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「何百万人もの子どもにとって、気候災害は単に授業の中断を招くものではありません。学校を破壊し、家族ごと住み慣れた土地から引き離し、最も脆弱な立場にある子ども、特に女の子を、学校から永久に遠ざけてしまうのです」。

ユニセフが行った分析によると、昨年、学校教育に支障をもたらした最大の原因は暴風雨で、世界で1億900万人の子ども・若者が影響を受けました。洪水は少なくとも7,000万人、熱波は約5,000万人の子どもたちの学校教育を妨げました。

「私の学校は小川のすぐそばに建っていて、大雨になると増水し、学校の中まで水が流れ込んできます」と、パプアニューギニアのタウディブラ・ガロさん(16歳)は話しました。同国では、今後数カ月の間にエルニーニョ現象の影響で異常気象のリスクが高まると予想されています。「たいてい、水は膝の高さまで上がり、穴を掘っただけのトイレは水浸しになります。そうなると、学校にいるのは不衛生なので、教わるはずの授業を受けられなくなってしまいます」。

 

洪水で全壊した自宅の跡を見つめる9歳のファティマさん。現在は家族とテントで暮らしながら、ユニセフの教育支援のもと学びを続けている(パキスタン、2025年10月15日)

© UNICEF/UN0907094/
洪水で全壊した自宅の跡を見つめる9歳のファティマさん。現在は家族とテントで暮らしながら、ユニセフの教育支援のもと学びを続けている(パキスタン、2025年10月15日)

あらゆる所得層の生徒が教育の中断の影響を受けたものの、その4分の3は低所得国・下位中所得国に暮らす子ども・若者でした。こうした国々の教育基盤は往々にして、気候関連の緊急事態下での学びを保障するためのリソースを十分に備えてはいません。

最も深刻な影響を受けた国の一つとなったパキスタンを例に取ると、8月に発生し深刻な被害をもたらしたモンスーン洪水により2,800万人以上の生徒の新学期の開始が遅れました。これは2025年に記録された気候関連の教育中断の中でも最大規模の事例の一つとなりました。一方エジプトでは、猛烈なハムシーン(砂嵐)により、4月に全国一斉に1日の休校措置が取られ、こちらも2,800万人以上の生徒に影響が及びました。

報告書のデータはまた、40カ国で年間を通じて複数回にわたり気候関連の教育中断が起きたことを示しています。例えばマダガスカルでは、干ばつ、熱帯低気圧、洪水が相次ぎ、年間で28万人の生徒が影響を受けました。スペインでは、3月の暴風雨と9月の温帯低気圧により、バレンシア州の50万人を超える生徒が影響を受けました。スペインではさらに他の地域でも、5月と6月には極端な高温が、また10月には暴風雨が、多くの生徒の学校教育に影響を及ぼしました。

 

洪水で浸水した自宅へ、ボートで帰宅する9歳のジラユットさん(タイ、2025年11月13日撮影)

© UNICEF/UNI910648/Chonmahatrakool
洪水で浸水した自宅へ、ボートで帰宅する9歳のジラユットさん(タイ、2025年11月13日撮影)

学習の損失や中途退学率の上昇は、労働生産性を低下させ、経済成長を鈍化させ、各国の貧困削減努力を妨げる恐れがあります。報告書は、何もしなければ、2025年までに、気候関連の学校教育中断を経験した生徒の生涯所得は少なくとも合計で2,000億米ドル失われる可能性があると指摘しています。

気候災害によって学校が休校・閉鎖されると、女の子は特に中途退学のリスクが高まります。学校や衛生設備の損壊、避難生活、世帯収入の減少により、女の子が家事や家族の世話、水くみなどをこれまで以上に担うことになるためです。こうした負担は児童婚のリスクも高め、学校再開後も女の子が教室に戻ることは難しくなります。

報告書は、また、気候災害から学びを守る上で既に効果を上げている具体的な施策も紹介しています。気候変動適応策(レジリエンス)を国の教育計画に統合すること、学校施設・設備を強化すること、学校が閉鎖されている間もその後も学習を継続できるようにすること、そして、変化する世界に適応するために必要なスキルを子ども・若者が身につけられるよう、気候教育をカリキュラムに取り入れること、などを取り上げています。

気候災害から教育を守るために

ユニセフは、これらの実証されたさまざまな施策を踏まえ、各国政府やパートナーに対し、気候災害による最悪の影響から教育を守るため、以下の措置を通じて取り組みを拡大するよう呼び掛けています。

「気候災害は、子どもたちの命と未来を脅かしています。今日の、そして将来の子どもたちの教育を守るにためは、気候ショック(気候変動による突発的な悪影響)に耐えられる学校や教育システムの構築に投資しなければなりません」(ラッセル事務局長)。

 

* * *

■ 注記

ユニセフの支援により、建設が進むテント式教室を見つめる11歳のシルヴァさん。通っていた小学校はサイクロンの被害を受け、学びが中断されている(マダガスカル、2026年4月29日撮影)

© UNICEF/UN0866299/Ramasomanana
ユニセフの支援により、建設が進むテント式教室を見つめる11歳のシルヴァさん。通っていた小学校はサイクロンの被害を受け、学びが中断されている(マダガスカル、2026年4月29日撮影)

2025年に気候災害の影響を受けた国は、国際的な災害データベース「EM-DAT(エムダット)」および国連人道問題調整事務所(UNOCHA)の「ReliefWeb Disaster Archive」を参照して特定されました。発生した事象によって教育の中断が起きたことは、ユニセフ、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、欧州委員会緊急対応調整センター(ERCC)のECHO Flash、UN OCHA、ReliefWeb、ならびに報道機関が公表した状況報告書やプレスリリースに基づいて確認しました。主なデータソースには、紛争地や災害被災地を含むユニセフの各国事務所および国内委員会、UN OCHAのフラッシュ・アップデート、セーブ・ザ・チルドレン、教育クラスター、各国教育省、ならびにユネスコ統計研究所(UIS)が含まれます。

 

2026年6月に発表されたユニセフの「子どもの気候リスク報告書2026年版(Children's Climate Risk Report 2026)」によると、世界の子どものほぼ半数に当たる11億人が、現在、少なくとも3つの重複する気候ハザードにさらされており、彼らの健康、教育、そして生存が脅かされています。「子どもの気候リスク報告書2026年版」はこちら>

困難な状況にある子どもたちが、生まれ持った権利を守られ、平和に健やかに成長できることを目指して活動するユニセフ。

その活動は皆さまのご支援によって支えられています。

毎月(定額)のご寄付 今回(一回)のご寄付

※最も支援が必要な子どもたちを支え、ユニセフの様々な活動に役立てられています。

関連ページ