2026年9月17日ヌワコット(ネパール)発

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サッカーボールを蹴る14歳のスウォスティク・パウデルさん。土石流に巻き込まれたが、一命をとりとめた(ネパール、2026年8月30日撮影)
土石流が起こる前、スウォスティク・パウデルさん(14歳)は、自由な時間があればほとんどサッカーに費やしていました。中学3年生の彼は、将来はフランス代表やキリアン・エムバペ選手のようなプロのサッカー選手になることを夢見て、時間さえあれば友達とサッカーをしていました。
「以前は、ほとんどの時間を学校で過ごし、時間があるときには友達と遊んでいました」とスウォスティクさんは話します。「たいていはサッカーをしていました。それが僕たちの時間の過ごし方だったんです」
日常が一変した日

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通学途中で土石流に巻き込まれた経験を離す14歳のスウォスティクさん(ネパール、2026年8月30日撮影)
しかし、土石流があった日の朝、いつも通り学校へ行くはずの一日は、生き延びるための闘いへと一変しました。スウォスティクさんの母親が彼と妹のために食事を用意したあと、両親はゴサインクンダへ出かけていきました。食事を済ませ、後片付けをし、学校に行くために服を着替えたスウォスティクさんは、近所に住む年下の男の子と学校へ向かいました。
「もう少しで学校に着くところで、道端の人びとが川を見ているのに気づきました」とスウォスティクさんは振り返ります。「すると突然、大きな土煙が僕たちのほうに迫ってくるのが見えました。僕も、同じ学校に通う子たちも、みんな一斉に走り出しました」
スウォスティクさんとその男の子は、少しでも高いところに逃げようとしました。小さな水路を他の子どもたちが渡るとき、スウォスティクさんは彼らを先に行かせました。ついに自分の番になったとき、濁流に飲み込まれてしまったのです。
「水にまた流されました。水の勢いはものすごかったです」とスウォスティクさん。「水に高くまで押し上げられ、そのあと水が引くのと一緒に、一気に下へたたき落とされました」。スウォスティクさんは岩に頭を打ちつけられ、倒れた木の下敷きになってしまいました。「このとき、もう死んでしまうと思いました」
さらに別の波に飲み込まれ、スウォスティクさんは再び流されました。気づけば、学校のふもとの畑にたどり着いていました。「壁でも植物でも、目に入ったものにはなんでもしがみつきました」とスウォスティクさんは話します。「ようやく立ち上がることができて、水の中から抜け出しました」そのあと泥の中を必死に進み、村の人々とともに森へ避難しました。そこで、妹と再会することができました。
不安なまま過ごした一晩、変わり果てた風景

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ネパール・ヌワコット郡の仮設避難所で、寄付された衣類をたたむ母親のアスミタさん(右)と9歳のスウォスティマさん。土石流によって自宅を失った一家は、他の避難世帯とともに避難生活を送っている(ネパール、2026年8月30日撮影)
兄妹は両親と離ればなれのまま、高台にある家で一晩過ごしました。「妹はずっと両親が恋しくて泣いていたんです」とスウォスティクさんは振り返ります。「泣き疲れて、そのまま眠ってしまいました」
家族は翌朝、ようやく再会することができました。しかしその後、スウォスティクさんと通学していた年下の男の子は、土石流によって命を落としていたと知りました。
現在、スウォスティクさん一家は、他の避難家族とともに地域の学校で過ごしています。家も所持品もすべて失いました。スウォスティクさんの妹はケガのため歩くことができず、スウォスティクさん自身も全身にあざなどの傷を負いました。
「家の近くまで来たとき、何もかもが流されてしまった状況を目の当たりにしました」とスウォスティクさんの母、アスミタさんは話します。子どもたちとは連絡が取れずにいましたが、やがて村の人から子どもたちは高台に向かったと聞きました。「その知らせを聞いたとき、本当にほっとしました」
サッカーが日常を思い出させてくれる
避難所での生活の中で、スウォスティクさんにとってサッカーは、災害が起きる前の日常を思い出させてくれる大切な存在です。「ここにサッカーボールを持ってきた子たちもいます。ボールはつぶれていますが、それでもみんなでパスし合って遊んでいます。友達同士で試合をすることもあるんです」とスウォスティクさん。
サッカーは子どもたちにとって慣れ親しんだ日常を取り戻すひと時となっていますが、スウォスティクさんは勉強の遅れを心配しています。川沿いにあった彼が通う学校も、大きな被害を受けました。アスミタさんもその不安を感じています。「息子は9年生で、来年には10年生の試験を受けなければなりません」とアスミタさんは話します。「他に何も望みません。ただ少しでも早くまた息子が学校に通えるようになってほしいんです」
多くの学校が被害、将来の災害リスクも考慮した再建を

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土石流で跡形もないほどの被害を受けた、ヌワコットのウッタルガヤ公立英語中等学校(ネパール、2026年9月5日撮影)
推計では、少なくとも19校が土石流の影響を受け、そのうち全壊と一部損壊がそれぞれ8校、残りの3校については現在も被害の確認が進んでいます。さらに、川から1キロ圏内にあるその他80校も、被害を受けた可能性があります。
多くの学校で、教科書や机、椅子、コンピューター、レクリエーション用品など、不可欠な物資が失われました。また、教室が損壊したことにより、子どもたちは安全に学べる場所を失っています。1万人以上の学齢期の子どもたちが、トラウマと向き合いながら学びを継続し、日常生活を取り戻すために、緊急の心理社会的支援や、安全で守られた学習スペースを必要としています。
ユニセフはネパール政府やパートナーと連携し、被害状況の確認と教育支援計画の取りまとめを急いでいます。事前に備えていた支援物資を配布するとともに、安全な水や衛生設備を備えた仮設学習スペースの設置も行っています。さらに、学習に必要な物資の提供や、子どもたちと教師に向けた心理社会的支援も最優先事項となっています。
復興が進む中、ユニセフは被災した学習施設の修復、再建も支援していきます。気候変動の影響や災害リスクを考慮したアプローチを取り入れ、将来の災害にも耐えることができる学校づくりを目指します。
スウォスティクさんにとって、安全な教室へ戻ることは単に勉強の遅れを取り戻す以上の意味を持ちます。それは、友だちと過ごす時間や日々の生活のリズム、慣れ親しんだ日常、そして未来を思い描くための場を取り戻すことでもあるのです。先の見えない状況でも、彼の夢は変わりません。
「僕は大きくなったら、サッカー選手になりたいです」(スウォスティクさん)

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ネパール・ヌワコット郡の仮設避難所で、仲良く話すスウォスティクさん(14歳)と妹のスウォスティマさん(9歳)(ネパール、2026年8月30日撮影)


























