2026年10月6日ニューヨーク発
太平洋の一部海域の海面水温を上昇させ、世界各地の気象に影響を及ぼす周期的な気候現象であるエルニーニョ現象が、2026年から2027年にかけて観測史上最大級となる見通しです。ユニセフ(国連児童基金)は、例年にない多雨や少雨により、大規模な洪水や深刻な干ばつなどの異常気象が発生する可能性が高まり、約100の国と地域で暮らす子どもたちの命、健康、教育が脅かされている、と警鐘を鳴らしています。

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熱帯暴風雨により浸水した街を歩く15歳のタインさん(ベトナム、2025年9月29日撮影)
3億4,700万人を超える子どもに影響

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甚大な洪水被害により冠水したパンジャブ州の街の様子(パキスタン、2025年9月4日撮影)© UNICEF/UNI860661/Ahmed
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、次のように述べています。「子どもたちにとって、エルニーニョは単なる気象現象にとどまりません。避難を余儀なくされ、栄養不良に陥り、水不足が起き、感染症が集団発生することにつながる可能性があります。また、学校が休校になったり、家計がさらに苦しくなったりすることも懸念されます。エルニーニョ現象によって平年より乾燥するまたは多雨になると予測される地域には、3億4,700万人を超える子どもが暮らしています。地域社会と子どもたちを守るため、今すぐ行動しなければなりません」。
気候変動とエルニーニョ現象に関する重要な事実

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気候変動の影響で厳しい干ばつが続く中、水を運ぶ子どもたち(チャド、2026年5月6日撮影)© UNICEF/UNI989957/Dejongh
・ユニセフの最新データによると、エルニーニョ現象の影響により、2026年10月~12月にほぼ100の国・地域で3億4,700万人を超える子どもたちが平年を大きく上回る降雨または雨不足に見舞われると予測されています。これにより、大規模な洪水や干ばつのリスクが高まり、壊滅的な被害がもたらされる恐れがあります。
・こうした気象条件にさらされる可能性が高い子どもの数が最も多いのは、アジア太平洋地域の1億9,000万人で、これに東部・南部アフリカ(4,100万人)、ラテンアメリカ・カリブ海諸国(4,100万人)、欧州・中央アジア(2,200万人)、中東・北アフリカ(2,000万人)、西部・中部アフリカ(2,000万人)が続きます。
・例えば、コロンビア、フィジー、パプアニューギニア、フィリピンの子どもたちは、エルニーニョ現象の影響で平年より少雨の状況に直面すると予測されています。これにより農業干ばつや水不足が生じ、避難者が増加する、また急性栄養不良が深刻化する可能性があります。
・一方、アフリカの角とその周辺地域の子どもたち、特にソマリアの子どもたちは平年を上回る降雨に見舞われると予測されています。これにより河川の氾濫や土石流が発生し、水系感染症が広がるほか、教育が中断される可能性があります。
・アフガニスタンやチャドなど、人道危機や紛争の影響下にある国々で暮らす子どもたちにとって、エルニーニョ現象は生存そのものを脅かしかねません。紛争や避難、基礎的サービスの不足によってすでに極めて脆弱な状況に置かれ、飢餓や栄養不良に陥っている子どもたちを、さらに苦しめる恐れがあります。
・異常気象が広範囲で発生するようになるにつれ、子どもたちが家族と離ればなれになる、暴力や搾取に遭う、児童婚をさせられるリスクも高まる可能性があります。例えば、2022年にアフリカの角と周辺地域を襲った干ばつでは、エチオピアの被災地域において児童婚が平均で2倍以上(119%増)増えました。
・世界的には、世界の子どものほぼ半数の11億人が、干ばつ、極端な高温、洪水など少なくとも3つの重複する気候関連の危機にすでにさらされており、エルニーニョ現象はこうした危機をさらに深刻化させると見られています。
・気象関連災害によって、2016年から2023年までの間に平均で1日当たり2万人を超える子どもが避難を余儀なくされました。異常気象によって人々は自宅を追われるため、2026年~2027年のエルニーニョ現象は、突発的な避難をさらに増加させる恐れがあります。
・2025年には、気候関連の災害によって世界で推計1億7,100万人の児童・生徒の学びが中断されました。エルニーニョ現象によって干ばつや洪水がさらに深刻化すれば、休校や欠席の増加、さらには中退リスクの高まりにつながり、この数はさらに増える可能性があります。
・災害リスク軽減と防災に1米ドル投資すれば、復旧・復興費用を最大15米ドル削減することができます。しかし現在、人道支援資金のうち予測に基づく事前行動に充てられているのは1%未満にとどまっています。
リスク軽減と防災に投資を
何カ月も前から警戒予報が出ていることから、ユニセフは各国政府、ドナー、パートナーに対し、人道支援ニーズが切迫する前に行動を取るよう呼び掛けています。具体的には、被害がピークに達する前の早い時点で資金を投入すること、気候変動に対してレジリエントな体制・システムを整備すること、子どもたちへの必要不可欠なサービスを保護すること、そして被災した地域社会に人道支援が確実に届くようにすることを求めています。
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注記

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大雨と洪水により深刻な被害を受けたウカヤリ州の様子(ペルー、2025年3月27日撮影)© UNICEF/UNI770760/Romani
本分析における数値は、2026年10月から12月の降水量が、エルニーニョ現象の影響によって、平年より著しく少なくあるいは多くなると予測される地域に暮らす、子どもの数を推計したものです。こうした異常な降水状況が実際に発生する確率は70%と見込まれています。推計には、2026年9月に発表された欧州中期予報センター(ECMWF)の季節予報と、WorldPopの子ども人口データを組み合わせて用いました。また、コロンビア大学の国際気候・社会研究所(IRI)が過去の事例に基づいて作成したエルニーニョ影響範囲のデータを用い、今回のエルニーニョ現象の影響を受ける可能性が高い地域を特定しました。子どもの数は、季節予報と過去のエルニーニョ時の降水パターンの両方が、平年より降水量が多くなる、または少なくなることを示している地域についてのみ集計しています。他の要因によって降水量の異常が予測される地域は除外されています。また、この予測システムについては、24年間にわたる衛星降水観測データと照合して検証を行い、季節的な降水パターンの予測において精度が実証された地域を特定しています。
これらの数値は、気象現象による影響そのものを推計したものではありません。異常な降水状況が発生する可能性の高い地域や、干ばつ、洪水、その他の気象関連の被害が生じるリスクが高まる地域を示したものです。特に、降水量の異常が最も顕著になると見込まれる地域に着目しています。この予報は約110キロメートルの空間解像度で作成されているため、地域全体の人口規模を大まかに示すものであり、個々の地域における正確な人口数を示すものではありません。また、予測の不確実性は地域によって異なり、新たな情報が得られるたびに季節予報は更新されます。これらの推計値は、2026年9月時点で利用可能であった観測データおよび予測情報に基づいています。

























