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プレスリリース

ソマリア
人道支援資金の削減により
子どもの危機が深刻化 ユニセフ広報官「今こそ支援が必要」

2026年8月21日モガディシュ(ソマリア)/ナイロビ(ケニア)

先週ソマリアを訪問したユニセフ(国連児童基金)広報官のジェームズ・エルダーは、ジュネーブで行われた国連の定例記者会見にナイロビからオンラインで参加し、人道支援の大幅な削減によって栄養支援や保健医療の施設が次々と閉鎖され、子どもたちが重度の栄養不良などの深刻な危機に直面していると警鐘を鳴らしました。以下は発言の概要です。

モガディシュのデイニーレ地区病院で診察を待つ、カマルさんと1歳半の娘マイダちゃん。この病院には、保健・栄養支援を求める多くの国内避難民が訪れている(ソマリア、2026年8月17日撮影)

© UNICEF/UN0910308/Sewunet
モガディシュのデイニーレ地区病院で診察を待つ、カマルさんと1歳半の娘マイダちゃん。この病院には、保健・栄養支援を求める多くの国内避難民が訪れている(ソマリア、2026年8月17日撮影)

子どもの危機が深刻化

今日のソマリアでは、人道支援の削減により保健医療への扉が閉ざされ、栄養支援サービスが停止に追い込まれ、水・教育・保護分野の支援の提供もますます困難になっています。そして、これまでと変わらず、その代償を払わされているのは、子どもたちです。

モガディシュのデイニーレ地区病院で治療ケアを受ける、重度の栄養不良の子どもたちと付き添いの母親たち(ソマリア、2026年8月17日撮影)

© UNICEF/UN0910356/Sewunet
モガディシュのデイニーレ地区病院で治療ケアを受ける、重度の栄養不良の子どもたちと付き添いの母親たち(ソマリア、2026年8月17日撮影)

前例のない規模での人道支援資金の削減を受け、すでに205カ所の保健・栄養関連施設が閉鎖されました。子どもたちへの影響は直ちに現れています。2026年上半期に重度の急性栄養不良に加え合併症を伴う状態で安定化センター(stabilisation centre)に入所した子どもの数は、前年同期比で32%増加しました。

施設の数が減るということは、母親と赤ちゃんにとって移動距離が長くなることを意味します。移動距離が長くなれば、治療を始めるのが遅れます。治療が遅れれば、病気は重症化し、防ぐことのできたはずの死の危険性が高まります。

今は決して後退すべき時ではありません。ソマリアは、北部の一部地域が深刻な干ばつに見舞われるなど、悪化する気候危機に直面しています。紛争や人々の避難も続いており、イランでの戦争の影響により燃料や肥料の価格が高騰しています。さらに、観測史上最大級と予測されるエルニーニョ現象が引き起こす大洪水が、人道危機にさらなる追い打ちをかける恐れがあります。しかも、洪水は今後数カ月で最も深刻な状態になると予測されています。

ここには残酷な矛盾があります。ソマリアの子どもたちを危機へと追い込む要因が強まり、これまで以上に多大な支援が必要とされているまさにその時に、脆弱な子どもたちを守るためのリソースが削られているのです。

この1週間、私は栄養不良の治療で安定化センターに入所している子ども数十人と会いました。彼らは地域の保健医療施設が閉鎖されたために、重い症状になってから病院へ運ばれてきた子どもたちでした。作物や家畜を失った家族たちは、栄養不良になった子どもを助けてくれる場所を探しています。

ハジオさんの話をすると、彼女には家があり、子どもたちは学校に通い、家畜も飼っていました。しかし干ばつと悪化の一途をたどる気候危機によって家畜が次々と死に、やがてすべて失いました。比較的豊かな暮らしから、何もない状態になってしまったのです。

そこで彼女は助けを求めて逃げ出しました。現在はビニールシートと木の棒で作られた仮設の住まいで暮らしています。そこは灼熱の暑さや雨から身を守るにはほとんど役に立ちません。彼女は支援が受けられると聞き、ソマリア南西部のブルハカバにやってきましたが、実際に受け取れたのは、近隣のコミュニティから分けてもらった衣類とトマトだけでした。そのコミュニティは国内で最も貧しい地域の一つです。彼女は国際社会から何の支援も受けていません。

ソマリアにおける支援プログラム

ソマリアにおける支援プログラムを分野ごとに見てみましょう。

保健分野では、資金削減により保健・栄養サービスの提供範囲がすでに30%縮小しています。サービス提供のさらなる中断の見通しは憂慮すべきもので、深刻な資金不足が続けば、国内で618カ所もの保健施設が閉鎖する恐れがあります。

国内避難民キャンプ内にあるユニセフ支援の保健・栄養施設で、上腕計測メジャーを使った栄養状態の検査を受ける子ども。赤色は重度の急性栄養不良を示す(ソマリア、2026年8月5日撮影)

© UNICEF/UN0910314/Sewunet
国内避難民キャンプ内にあるユニセフ支援の保健・栄養施設で、上腕計測メジャーを使った栄養状態の検査を受ける子ども。赤色は重度の急性栄養不良を示す(ソマリア、2026年8月5日撮影)

栄養分野では、5歳未満の子どもや10代の女の子と女性を含む約100万人が栄養支援を受けられなくなるリスクがあります。先ほど触れた安定化センターに入所する子どもの数が32%増加したのは、病気にかかる子どもが増えたからではありません。コミュニティを基盤とした栄養支援サービスが削減されたためです。その結果、脆弱な立場にある子どもが早期に発見されて治療につながる機会が失われています。彼らが専門施設にたどり着くころには病状ははるかに深刻になっており、当然ながら、治療費もより多くかかります。

こうした状況と並んで、ソマリアでは恐ろしい現実が進行しています。今年、約190万人の子どもが栄養不良に陥ると予測されています。そのうち約50万人は、栄養不良の中でも最も死亡率の高い「重度の急性栄養不良」に陥る見込みです。さらに、命を守る支援が必要な子どもたちにその支援を届けることさえ難しくなっています。ユニセフの命を守るための支援物資の輸送や活動に不可欠な航空輸送を担う、国連の「人道航空輸送サービス(UNHAS)」のソマリアにおける予算は、2025年から2026年にかけて40%削減されました。

こうした予算削減は、これまでに達成されてきた成果、つまり失われてしまうかもしれない成果を踏まえて捉えられなければなりません。2021年から2025年にかけて、ユニセフは重度の急性栄養不良に苦しむ225万人を超える子どもの入院や治療を支援しました。2025年の回復率は97.6%でした。

2024年には、ユニセフが支援した経口コレラワクチンの集団接種の取り組みにより、コレラのリスクに直面している88万5,000人を超える人々を対象に、90%超の接種率という目標を達成しました。

私たちには支援プログラムがあります。共に活動するパートナーもいます。欠けているのは資金です。

ベイ州ブルハカバにある給水所。干ばつの影響を受ける地域では、安全な水の確保が日々の大きな課題となっている(ソマリア、2026年8月16日撮影)

© UNICEF/UN0910349/Sewunet
ベイ州ブルハカバにある給水所。干ばつの影響を受ける地域では、安全な水の確保が日々の大きな課題となっている(ソマリア、2026年8月16日撮影)

水の分野に関しては、現在起きている干ばつの影響は、支援の縮小によって深刻化しています。160万人超が安全な水へのアクセスを必要としており、80万人超が必要不可欠な衛生用品の供給が途絶えるリスクに直面しています。

一方、農村地域や牧畜地域では水の価格が4倍に跳ね上がりました。以前は容量200リットルのタンク1つが約2米ドルだったものが、現在は8米ドルになっています。それでも、ユニセフは緊急的および持続可能な給水事業を通じて100万人を超える人々に支援を届けてきました。しかし、資金の継続がなければ、こうした成果も失われかねません。

教育は、子どもたちを搾取、児童婚、児童労働から守るとともに、彼ら自身と地域社会が貧困から抜け出す道筋を与えてくれます。しかし、長年にわたって寄せられた子どもたちの未来への多大な投資は、積み上げられた時間よりもはるかに速く失われつつあります。

教育分野は2025年に3,000万米ドルの資金を失っており、2026年には主要ドナーの拠出額は半分以上削られると見込まれています。7万8,000人を超える生徒がすでに学校を中退しており、さらに66万人の子どもが中退を余儀なくされるかもしれません。2022年の干ばつの際、ユニセフの支援により13万人超の子どもが学び続けられたことを忘れてはなりません。

子どもの保護の分野でも、現行の資金削減はこれまでの成果と、その成果が失われる危険を踏まえて考える必要があります。2024年と2025年には、武装勢力と過去に関わりがあった、あるいは武装集団に徴兵されそうになっていた何千人もの子どもが社会復帰支援を受けました。

ソマリアは、子どもに対する権利侵害の報告件数が世界でも特に多い国の一つです。しかし資金削減により、少なくとも65カ所の子どもの保護のサービス拠点や施設が閉鎖されたため、ケースマネジメント、心理社会的支援、家族の探索、社会復帰支援などができなくなる危機にさらされています。

昨日会ったアブドラさんの話をしましょう。彼は10代の男の子です。将来は整備士になりたいと願い、村でいつも機械をいじっていました。その才能に目を付けた武装グループが、整備士として働きながら訓練も受けられると持ちかけました。地元には何の機会もなく、夫を亡くした母を支えたいという思いから、彼はその誘いを受けました。しかしそれは嘘でした。アブドラさんは戦場へ放り出されたのです。

脱走に失敗した後、彼は結局のところ戦闘で負傷し、政府軍に拘束されました。2024年末から2025年初めにかけて、ユニセフは武装グループとの関わりがあった160人を超える子どもに対し、職業訓練センターへの入所を支援し、電気工事、機械整備、調理などの訓練を終えた後には、自営業を始めるためのスターターキットを提供しました。彼らの多くは小規模事業を立ち上げたり、就職したりしました。しかし資金減によって、アブドラさんにはそのスターターキットを提供できない見込みです。つまり彼は自立への後押しを得られなくなります。

そのような職業訓練と支援キットは、より安定した未来への道筋となるものです。子どもたちが再び武装集団に徴用・徴兵されることを防ぎ、家族や地域社会を支える力になることにつながります。

国際社会は今こそ支援を

モガディシュの国内避難民キャンプで暮らすザフラさんと子どもたち(ソマリア、2026年8月17日撮影)

© UNICEF/UN0910299/Sewunet
モガディシュの国内避難民キャンプで暮らすザフラさんと子どもたち(ソマリア、2026年8月17日撮影)

相互に関連しあう世界では、どこかで援助が削減されれば、あらゆる場所の安全と経済的繁栄が脅かされます。これはソマリアでも世界のどこでも同じです。問題は、「世界がより厳しい状況になったからといってソマリアへの援助を減らしてよいのかどうか」ではありません。問うべきは、「困難が増していく中で、ソマリアをさらに脆弱な状態に追い込むことを国際社会は許容できるのか」ということです。その答えは、当然「ノー」であるべきです。

こうした問題に直面している中も、ソマリアの人々や関係機関は状況に対応し続けています。政府は政策、規制、国家システムの強化に取り組んでおり、人道支援関係者は、より効率的で、現地に根ざした、持続可能な支援のあり方を絶えず模索しています。

しかしながら、ソマリアが、干ばつ対応か開発か、病気の子どもの治療か栄養不良の予防か、あるいは緊急の給水支援か持続可能な水供給システムか、といった選択を迫られるようなことがあってはなりません。

そして国際社会もまた、危機は国境で抑えられるかのような振る舞いをするべきではありません。経済が相互につながり、気候危機が広がり、国境を越える紛争で子どもが徴兵され、人々が避難する世界では、そうした脅威に最もさらされている人々を守る仕組みを解体することは許されないのです。

子どもの保護にかける支出は、削ってもよい裁量的経費ではありません。人びとの苦しみを防ぐための支出は無駄な支出ではありません。そして、最も支援が必要とされる時に効果的な支援の体制を解体することは節約にはなりません。それは将来、資金の面でも、安全の面でも、開発の面でも、そして一部の子どもたちにとってはその命をもって、より大きな代償を支払うという選択となるのです。

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