2025年4月24日ミャンマー発
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地震で被災した母親たちに新生児用キットを配布するユニセフの保健担当官(ミャンマー、2025年4月4日撮影)
ミャンマーでは、3月28日に発生した地震により、900万人以上が影響を受け、約630万人が緊急支援を必要としています。被災地域では、家屋や上下水道などのインフラが破壊され、栄養不良や感染症のリスクも高まっています。
地震発生からまもなく1カ月が経ちますが、今なお約20万人が避難生活を余儀なくされており、支援ニーズは甚大です。
命を未来を守る、ユニセフの支援
ユニセフは、地震発生直後から、被災した子どもたちと家族のために、安全な水の提供、衛生用品の配布、保健医療・栄養支援、心理社会的ケア、教育支援など、多岐にわたる人道支援を届けています。
1.水と衛生(WASH)
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水道インフラが壊れ、飲み水が切実に求められるなか、住民たちに安全な飲み水を届けるユニセフのスタッフ(ミャンマー、2025年4月2日撮影)
地震で被災した地域において、安全な水と衛生環境の確保は最優先事項の一つです。
ユニセフはパートナーと連携し、浄水タブレットを配布し、45万人以上に1カ月分の安全な飲料水を提供しました。さらに、仮設避難所や仮設キャンプにおいて、112基のコミュニティ向け飲料水浄化フィルターを設置し、日常的な水の利用ニーズにもこたえています。
また、衛生キットやバケツ、給水タンク、防水シートなどの衛生用品を約20万人に配布。地域ボランティアや市民社会団体と協力して、感染症の拡大防止や手洗い習慣の促進といった啓発にも力を入れています。
2. 保健・栄養
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仮設キャンプで、栄養不良の検査を受ける男の子(ミャンマー、2025年4月16日撮影)
ユニセフは、被災直後から保健・栄養分野での緊急支援を展開しています。
移動式保健チームの派遣や仮設クリニックの設置、治療ケアなどの支援を、最も影響を受けている地域で実施しており、特に子どもや妊娠・授乳中の女性に重点を置いています。
震災前から備蓄していた医薬品や栄養治療食を活用し、水様性下痢、コレラ、肺炎、マラリア、急性栄養不良といった深刻な健康リスクに対応しています。今後は、妊婦健診、安全な出産、産後ケア、予防接種、乳幼児の治療と栄養補給など、基本的な医療サービスの継続・拡大を計画しています。
3. 子どもの保護
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強い揺れがあったマンダレーにおける、子どもの心のケア支援の一環で、絵本を読み聞かせるユニセフの子どもの保護担当官(ミャンマー、2025年4月12日撮影)
地震の影響を受けた子どもたちの保護は、最優先課題の一つです。
ユニセフは、心理社会的支援(心のケア)や子ども保護キットの配布、家族との再会支援などを行っています。保護者と離ればなれになった子どもには、一時的なケアを提供するとともに、家族の再会や代替的な家庭的ケア体制の確立に取り組んでいます。
また、緊急時に子どもたちが安心して過ごせる「子どもにやさしい空間」も設けています。
4. 教育
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地震で被災した人々に地震で被災した人々の一時的な避難場所となっている仮設キャンプに、多目的高性能テントを設置するユニセフスタッフ。(ミャンマー、2025年4月16日撮影)
ユニセフは、子どもたちが安心して学び続けられるよう、多角的な教育支援を展開しています。
地震により多くの学校が損傷・倒壊したことを受け、仮設学習スペースの設置や教材、学用品、遊具などの提供を進めています。これまでに、2,000枚の屋根材、5,000の学習キット、250の遊具キットが配布され、学習再開に向けた準備が進行中です。
6月に新学期が始まるため、教育支援のニーズが一層高まっており、子どもたちが安全に学べる校舎の評価や修復計画も並行して進められています。
5. 現金給付、啓発
被災世帯への経済的支援として、ユニセフは多目的現金給付を実施しています。障がいや子どもを抱える家庭を中心に、マンダレー、サガイン、南シャン地域で支援が広がっています。これまでに約2950世帯(約1万5000人)に支給が完了し、多くはWAVEというモバイル送金システムを通じて届けられました。国連や他の支援機関と連携し、対象者の選定や支給方法の調整を図りながら、今後さらに多くの世帯に支援を拡大する予定です。
ユニセフはまた、パートナーと協力し、被災者へのリスクコミュニケーションと地域参加型の啓発活動を行っています。衛生、感染症予防、ジェンダーに基づく暴力の防止などをテーマに、ラジオやSNS、地域ネットワークを活用して正しい情報を広めています。これまでに5万人以上に衛生に関する知識の普及や衛生習慣の実践指導を行い、乳幼児ケアや緊急時の授乳支援も提供しています。特に妊産婦への支援を重視しています。
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地震で被災した家族へ支援物資を配布している間、子どもたちの相手をするユニセフ教育担当官(ミャンマー、2025年4月12日撮影)
ユニセフの支援で、子どもたちの心を守る
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避難生活を送るなか、ユニセフ支援物資のおもちゃで弟と遊ぶ、9歳のキョーさん。(ミャンマー、2025年4月8日撮影)
マンダレー地域サガイン郡タウタパン区の仮設キャンプで、小学4年生のキョー・ジン・ピョーさん(9歳)が弟と一緒に仮設テントで遊んでいます。
「紛争で村から逃げてきて、このお寺に避難しています。地震が起きたときは、友だちと一緒にお寺の2階で遊んでいて、屋根が崩れました。みんな慌てて逃げました。ぼくたちのそばにいたおじいさんは、押しつぶされて亡くなってしまいました」とキョーさんは話します。
「避難のために、おもちゃや遊ぶものは全部置いてこなければならなくて、何も持っていません。でも今、こうしておもちゃやぬり絵帳をもらえてとてもうれしい。弟とまた一緒に遊べるようになって、昔に戻れた気がします」
緊急事態下で命をつなぐ水や食べ物はもちろんのこと、ユニセフは、おもちゃやぬいぐるみといった、子どもの心を守る支援物資も最優先に届けています。