2025年7月9日ミャンマー発

© UNICEF/UNI825793/
マンダレー地域の仮設住宅で、ユニセフ支援の衛生キットを受け取った家族(ミャンマー、2025年6月23日撮影)
広範な影響をもたらした大地震

© UNICEF/UNI770507/anonymous
震源地のミャンマー中部マンダレー地域の倒壊した建物(ミャンマー、2025年3月28日撮影)
2025年3月28日にミャンマー中部で発生したマグニチュード7.7の大地震、およびその後180回以上発生した余震は、子どもたちとその家族に深刻な被害をもたらしました。
地震によって多くの人々が家を失い、学校や病院、水道などのインフラも大きく損壊。発災直後から、200万人以上の子どもを含む630万人が支援を必要とする事態となりました。
地震により789の病院が損壊または破壊され、保健医療体制は事実上崩壊しました。その結果、多くの家庭が必要不可欠な医療、予防接種、栄養支援を受けられない状況に置かれています。

© UNICEF/UNI812189/Oo
地震の被害を受けたマンダレーの学校の教室(ミャンマー、2025年4月28日撮影)
また、5万2,000棟近くの家屋が全壊し、2,604校の学校が損壊または全壊しました。ミャンマーでは新学期が6月に始まるため、学校に避難していた家族が退去を求められるケースも報告されています。
さらに、6万4,000基以上のトイレが地震で破壊され、急性水様性下痢の発生も報告されています。汚染された水源と不十分な衛生環境は、公衆衛生上の重大な脅威です。
この非常事態に際し、ユニセフは地震発生直後からただちに支援を開始しました。現地のパートナーと緊密に連携し、命を守るための緊急支援に加え、子どもたちの「学び」「遊び」「安心した暮らし」を取り戻すための支援を、地震発生後100日以上にわたり継続しています。
ご支援で実現できた主な成果
みなさまからのご支援により、ユニセフは、地震発生直後からこれまでに、下記を含むさまざまな分野での活動を展開し、最も困難な状況に置かれている子どもたちと家族が必要とする支援を届けてきました。
水と衛生(WASH)

© UNICEF/UNI825789/
ユニセフ支援の浄水器から出る安全な水を飲む親子(ミャンマー、2025年6月23日撮影)
地震により井戸やパイプライン、トイレなどの水・衛生施設が多数損壊し、多くの人が清潔な水にアクセスできない状態に陥ったため、清潔な水の確保は最優先課題の一つでした。
命を守る緊急給水支援
浄化剤を配布し、給水車による緊急給水を実施。これにより、25万600リットルの飲料水と約60万ガロン(約228万リットル)の生活用水を被災者に届けました。
井戸の復旧と持続的な水供給体制の整備
首都ネピドーでは、浅井戸95基と深井戸25基の復旧を完了し、長期的な水供給体制の再構築を進めました。
衛生キット配布と感染症予防の啓発
感染症のまん延を防ぐため、衛生キット、バケツ、石けん、生理用品を配布。地震発生以降、手洗い場付き緊急用トイレ66基を設置するとともに、家庭での衛生管理や浄化剤の使用方法を伝える啓発活動も実施しました。
保健と栄養

© UNICEF/UNI777470/Htet
地震で被災した母親たちに、新生児用キットを配布するユニセフの保健担当官(ミャンマー、2025年4月4日撮影)
地震により保健・栄養サービスが深刻な打撃を受け、医療施設やワクチン保管設備が損壊しました。感染症の拡大リスクが高まる中、地震発生直後から、ユニセフは支援が届きにくい遠隔地域にも、迅速に保健・栄養物資を届けました。
保健サービスの提供と命を守る対応
地震直後から、移動型クリニックや仮設保健施設を通じ、安全な出産、予防接種、小児治療などを提供しました。約12万3,000人(子ども2万8,200人、女性1万6,900人)が医療・保健サービスを受けました。
栄養不良への早期介入と母子支援
3,947人の子どもと646人の妊産婦が急性栄養不良の検査を受け、112人の子どもが要治療と診断されました(うち11人は重度の急性栄養不良)。7,792人の子どもに微量栄養素パウダーを提供し、4,535人の子どもと993人の妊産婦が補助栄養プログラムの支援を受けました。
子どもの栄養支援
保護者や妊産婦など延べ1万人以上に対し、乳幼児の栄養指導を実施。加えて約2万9,500世帯に、米や豆、ヨウ素添加塩、食用油、栄養強化ビスケットなどの栄養価の高い食料品セットを配布しました。
子どもの保護

© UNICEF/UNI790128/Htet
仮設キャンプに避難している子どもたちに、支援物資のおもちゃを届けるユニセフの教育担当官(ミャンマー、2025年4月26日撮影)
地震により、多くの子どもが家族や住まいを失い、搾取や暴力のリスクにさらされ、深刻な心理的ストレスを抱えています。心のケアや心理社会的支援の継続が不可欠であり、保護者のいない子どもに対する家族再会支援や代替的な保護も喫緊の課題です。
包括的な子どもの保護支援
ユニセフはパートナーとともに、7万3,162人(うち子ども5万974人)に保護支援を提供しました。
地雷・爆発物のリスク教育と現金給付支援
1万2,523人(うち子ども4,854人)に地雷リスク教育を提供。地雷の被害を受けた118人に医療・心理社会的・現金給付支援を行いました。
心理社会的ケア
3万5,411人に心理社会的支援、2万3,870人にメンタルヘルス支援を提供しました。249人のトラウマを抱える子どもには専門的サポートを実施。1万4,862人の子どもが、支援物資の「子どもの保護キット」を受け取りました。
教育支援

© UNICEF/UNI812249/Oo
ユニセフ支援の学用品を受け取る子どもたち(ミャンマー、2025年5月29日撮影)
地震によって2,500棟以上の教育施設が損壊し、数千人の子どもたちが学校や学習の機会を奪われました。ユニセフは、安全で支援的な環境で子どもや青少年が学び続けられるよう、包括的な教育支援を展開しています。
緊急対応としての仮設学習スペースと教材配布
1万7,670人の子ども(障がいのある子ども27人を含む)に、必須学習パッケージや幼児発達キット、レクリエーションキット、学用品を提供。また、カレン州、マンダレー地域、サガイン地域では、計約7万6,000人の子どもが緊急教育支援を受けています。
教育施設の復旧と衛生環境の整備
被害を受けた学校や教育施設の耐震・安全性の調査を進めつつ、仮設施設の設置やがれき除去、屋根の補修、トイレや給水施設、手洗い場などの修復を行っています。シャン州南部では11の幼児学習センターが復旧中であり、数百人の幼児の学びを支えています。
心理社会的支援を組み込んだ、安全で包摂的な学習環境の整備
教育者や地域ボランティアに対し、教材の効果的活用と心のケアに関する専門研修を実施。子どもたちが安全に遊び、学び、心の傷を癒せる場づくりを重視しています。地域の教育パートナーと連携し、資源の効率的な活用を図りながら支援を展開しています。
緊急現金給付

© UNICEF/UNI825189/Htet
地震で被災した地域の各家庭を訪問するユニセフスタッフの様子(ミャンマー、2025年4月29日撮影)
地震により多くの家庭が住まいを失い、生計が脆弱な状態に陥りました。ユニセフは、被災した家族の安定回復と地域経済の活性化を目指し、多目的人道現金支援を実施しました。
最も脆弱な家庭への現金支援
マンダレー、サガイン、ネピドー、南シャン、バゴ、カインの最も被害が大きい地区で、4万4,651人の子どもと大人に現金支援を届けました。無条件の給付により、食料、住居、水、生活必需品の調達が可能となり、被災者の自立を支えました。
効率的かつ安全な支給体制の確立
モバイルマネーによる送金を活用し、移動や安全の負担を軽減。障がいのある人々の追加ニーズにも対応しました。1世帯あたり約85米ドル相当を支給しています。
ご支援くださる皆さまへ

© UNICEF/UNI791146/Htet
ユニセフ支援物資のレクリエーションキットに入っていたボールで遊ぶ子どもたち(ミャンマー、2025年4月28日撮影)
ユニセフは、ミャンマーで70年以上活動しており、災害の前も、最中も、そしてその後も、子どもたちのそばにいます。
皆さまのあたたかいご支援に支えられ、2025年4月に発生した地震直後から、ミャンマーの子どもたちと家族に、緊急支援を届けることができました。100日が経過した現在もなお、安全な水や保健・栄養、教育、心のケア、そして未来への希望を届けるために、現地で活動を続けています。
被災した学校や保健施設を再建し、地域が再び立ち上がるための歩みも始まっています。しかし、必要な支援資金(約6,100万ドル)のうち、75%が不足している状況です。
この大きな困難を乗り越えるには、皆さまのご支援が必要です。どうか引き続き、ユニセフともに、被災した子どもたちと家族に寄り添い、支援活動を支えてください。

























