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日本ユニセフ協会

ウクライナ緊急募金

ウクライナ危機
深まる子どもの権利の危機 子どもの3分の2が国内外で避難生活

2022年6月14日ニューヨーク

14日、ニューヨークの国連本部で行われた定例プレスブリーフィングにおいて、ユニセフ(国連児童基金)・欧州・中央アジア地域事務所代表のアフシャン・カーンが発言した内容を一部抜粋してお伝えします。

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子ども3分の2避難生活

戦闘が激化した東部のルハンスク州から、西部のリヴィウに逃れ避難所で生活する8歳のリアラさん。(ウクライナ、2022年4月撮影)

© UNICEF/UN0646718/
戦闘が激化した東部のルハンスク州から、西部のリヴィウに逃れ避難所で生活する8歳のリアラさん。(ウクライナ、2022年4月撮影)

先週、私はウクライナに滞在し、紛争の影響を受けた子どもたちやその家族と会い、ユニセフの重要な人道支援をこの目で見てきました。キーウ、イルピン、ブチャ、ジトーミル、リヴィウを訪問し、ウクライナでの紛争が国の内外で、また地域や国境を越えて世界中の子どもたちに与え続けている甚大な影響をじかに見ることができました。

繰り返しになりますが、ウクライナの子どもたちの3分の2が避難を余儀なくされています。この数字は驚異的です。彼らは国内避難民となっているか、難民として国境を越えて避難しており、家や友人、おもちゃや大切な持ち物、そして家族と離れなければならず、将来への不安に直面しています。この不安定な状況は、子どもたちから未来を奪っています。トラウマや恐怖は、子どもたちの心身に長期的な影響を与える可能性があります。

深まる子どもの権利の危機

避難したハルキウの地下鉄の中で、母親に見守られながら算数の宿題をする7歳のユリアさん。(ウクライナ、2022年4月撮影)

© UNICEF/UN0634480/Gilbertson
避難したハルキウの地下鉄の中で、母親に見守られながら算数の宿題をする7歳のユリアさん。(ウクライナ、2022年4月撮影)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の最新の数字によると、277人の子どもが死亡し、456人の子どもが負傷しています。その原因のほとんどは、建物が立ち並ぶ都市部での爆発物の使用によるものです。少なくとも256の保健・医療施設が攻撃を受け、ウクライナ東部ではユニセフが支援する「安全な学校(Safe School)」の6校に1校が損傷または破壊されています。また東部の少なくとも140万人が水道水を利用できておらず、安全な水の利用状況について懸念が高まっています。

これらの数字が示すように、ウクライナでの紛争は子どもの権利の危機であり、ユニセフは子どもたちや家族が国内のどこにいても支援を届けるべく活動しています。ウクライナにおけるユニセフのこうした重要な役割によって、ユニセフの同国での活動計画を2023年末まで延長することで政府と合意しました。

子どもに安全なアクセスを

ザポリージャにある、ユニセフが支援するセンターで遊ぶ女の子たち。ユニセフは子どもたちのために、遊びや学習に必要な支援物資を提供している。(ウクライナ、2022年6月9日撮影)

© UNICEF/UN0651252/Filippov
ザポリージャにある、ユニセフが支援するセンターで遊ぶ女の子たち。ユニセフは子どもたちのために、遊びや学習に必要な支援物資を提供している。(ウクライナ、2022年6月9日撮影)

ユニセフは、1997年にウクライナでの支援を開始し、紛争が激化する中、子どもたちとその家族の生活を守るために支援を届けてきました。現在までに、200万人以上の人々に保健物資と安全な飲料水を提供しています。また、60万人以上の子どもと養育者がメンタルヘルスおよび心理社会的支援を受け、18万人以上の子どもが公式教育やコミュニティベースの学習に参加しています。

私たちのパートナーは、コンタクト・ライン(接触線)の両側で、重要な情報や命を守る物資・サービスを子どもたちに届けるために活動しています。ユニセフは、前線に近い場所や支援が届きにくい場所にある100カ所以上の避難所で家族を支援しています。しかし、安全で迅速、かつ制限のない人道アクセスを確保するための集中的な努力にもかかわらず、ウクライナ全域の最も影響を受けている地域では大きな課題が残っており、ユニセフは子どもたちへの安全で制限のないアクセスを求め続けています。

現在は少しだけ状況が安定してきたウクライナ中部および西部では、自治体やNGOなど、すでにあるサービスや自治体を支援し、強化しています。例えば、スピルノ(SPILNO)・センターと呼ばれる子どもにやさしい空間では、親子でセラピーや心理社会的サポートなどの支援サービスを受けたり、物資や情報を得たり、子どもたちが安全に遊んだり日常を取り戻したりできる場所です。また、親たちが他の親と一緒に座って、束の間の安らぎやピア・サポートを得ることができる場所でもあります。

学校の修復は優先事項

ザポリージャにある難民受け入れセンターで、ユニセフ支援物資のスクールバッグなどを受け取った子どもたち。(ウクライナ、2022年5月24日撮影)

© UNICEF/UN0649047/Klochko
ザポリージャにある避難民受け入れセンターで、ユニセフ支援物資のスクールバッグなどを受け取った子どもたち。(ウクライナ、2022年5月24日撮影)

イルピンでは、戦闘で被害を受けた2つの学校を訪問しました。9月に始まる新学期には、約2,000人の子どもの教育がリスクにさらされる恐れがあります。国内の被災した学校の数については確認されていませんが、その数は数千にもなるでしょう。9月に子どもたちが安全な学習環境に戻れるよう、学校の修復はユニセフと政府にとって優先事項です。

政府、企業、個人の皆さまからの惜しみない支援のおかげで、国や周辺地域全体で、極めて厳しい状況に置かれている家族への現金給付支援など、人道的な活動を続けることができています。

ユニセフは、ウクライナにおける即時停戦と、すべての子どもたちを危険から守ることを引き続き求めています。この紛争が続く限り、ウクライナ、周辺地域、そして世界中の子どもたちへの長期的かつ壊滅的な影響は増大し続けるでしょう。

 

 

■ユニセフ「ウクライナ緊急募金」ご協力のお願い

ウクライナでは、2022年2月から続く戦闘によって、今すぐに人道支援を必要としている子どもの数は、ウクライナ国内で300万人、避難先の難民受け入れ国で220万人以上にものぼっています。

ユニセフはウクライナ国内に留まり、子どもたちと家族のための支援活動を継続するとともに、周辺国に避難しているウクライナ難民支援も強化しています。

その活動を支えるため、日本ユニセフ協会は、ユニセフ「ウクライナ緊急募金」を受け付けております。

避難を余儀なくされ、教育の機会を奪われ、恐怖におびえ心身ともに影響を受けている子どもたちとその家族に、人道支援を届けるため、ご協力をお願い申し上げます。

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