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ベネズエラ地震 緊急募金

ベネズエラ地震
一瞬で奪われた日常
支援を通じて家族の笑顔を取り戻す

2026年9月18日ベネズエラ

ラ・グアイラにある仮設避難所で、生後2カ月のマイロくんを抱っこするナザレスさん(ベネズエラ、2026年7月19日撮影)

© UNICEF/UN0894643/Lopez
ラ・グアイラ州にある一時避難所で、生後2カ月のマイロくんを抱っこするナザレスさん(ベネズエラ、2026年7月19日撮影)

「まず最初に、停電が起きました。そしていまだに忘れられない音が聞こえてきたのです。まるで怪獣が起き上がったかのような音でした」とナザレス・マルティネスさん(34歳)は振り返ります。

生後2カ月の息子とともに被災

地震により、多くの建物が倒壊したラ・グアイラ州で、がれきの中に取り残された人々を捜索する様子(ベネズエラ、2026年6月27日撮影)

© UNICEF/UN0876755/Hernandez
地震により、多くの建物が倒壊したラ・グアイラ州で、がれきの中に取り残された人々を捜索する様子(ベネズエラ、2026年6月27日撮影)

2026年6月、ベネズエラを襲ったマグニチュード7.5と7.2の2回の大規模地震により、多くの家屋や学校、保健施設が被害を受けました。

突然揺れ始めたとき、ナザレスさんは、生後2カ月のマイロちゃんとベッドで横になっていました。彼女は急いで起き上がり、マイロちゃんを抱きかかえて部屋を出ようとしましたが、ドアは開きませんでした。

ナザレスさんはなんとか中庭に逃げ出すことができましたが、激しい揺れで倒れそうになり、足を大きく開いて必死に踏ん張りました。目の前の山々さえも動いているように見えたといいます。

「息子のマイロを抱えて中庭に出ました。倒れそうになりながら必死に踏ん張っていました。特にあの音は本当に怖かったです」と彼女は話します。

地震が発生したとき、ナザレスさんの13歳と10歳の2人の娘は、ナザレスさんの義理の妹と一緒にいました。ナザレスさん一家は再び合流することができましたが、その日を境に日常生活は大きく変わりました。

地震発生から数日の間、ナザレスさんと子どもたちは自宅に戻れず、広場や山間部などで過ごしました。その間、生後2カ月の息子は熱中症になってしまいました。

ある避難所で医療支援を受けられると耳にしたナザレスさんは、そこへ向かうことを決意しました。

「お医者さんがいると聞いて連れてきました。平地にあるのを見て、ここならこれから安心して過ごせるだろう、と思いました」とナザレスさんは振り返ります。

当たり前だと思っていた、安心して過ごせる日々

ラ・グアイラ州のスタジアムに設けられた一時避難所の様子(ベネズエラ、2026年6月29日撮影)

© UNICEF/UN0879599/Párraga
ラ・グアイラ州のスタジアムに設けられた一時避難所の様子(ベネズエラ、2026年6月29日撮影)

何度か自宅に戻ったものの、ナザレスさんはもう家が安全だとは感じられなくなったと言います。家の中に入るとめまいがして、また地面が揺れ始めるのではないかという不安に襲われるのです。

日常の何気ない音を聞くだけでも、ナザレスさんは当時のことを思い出してしまいます。

「ヘリコプターが頭の上を飛んでいると、家が揺れているように感じます。するとパニックになり、また地面が揺れるのではないかという恐怖に襲われるのです」とナザレスさんは話します。

地震が起きる前、ナザレスさんは子どもたちと自宅で過ごしていました。当時も毎日大変だと感じていたといいます。しかし、今回の地震によって価値観が大きく変わりました。

「これこそが本当の苦労です。私たちはこれまで安心して暮らせていたのに、そのありがたみに気づいていませんでした。今は常に不安と隣り合わせです」とナザレスさんは語ります。

ナザレスさんには以前から不安を感じることがあったといい、今回その症状がさらに悪化したと感じています。また出産後間もない時期であることも、今回の地震による精神的な負担を一層強めている可能性があると話しています。

調子のいいときもありますが、ふとした瞬間に恐怖がよみがえることもあります。

「私にはまるで、一昨日起こった出来事のように感じられるのです。当時のことを思い出すと、足元から寒気がこみ上げてきます」とナザレスさんは話します。

ナザレスさんは、緊急事態の中、一人で3人の子どもの面倒を見ることの大変さについても語ります。

「時々、この子たちの世話をしきれないように感じることがあります。とても疲れますし、子どもたちを見ているのは私一人なんです」と彼女は説明します。

子どもが子どもでいられる場所

避難所に設置された子どもにやさしい空間で、レクリエーション活動を楽しむ子どもたち(ベネズエラ、2026年7月19日撮影)

© UNICEF/UN0893530/Garcia
ラ・グアイラ州の避難所に設置された子どもにやさしい空間で、レクリエーション活動を楽しむ子どもたち(ベネズエラ、2026年7月19日撮影)

避難所ではナザレスさんの娘たちが、ユニセフ支援の「子どもにやさしい空間」で、レクリエーション活動や教育プログラムに参加しています。子どもたちはそこで、絵を描いたり、塗り絵をしたり、遊んだりしながら、ほかの子どもたちと一緒に過ごしています。

「子どもにやさしい空間は、緊急事態下の子どもや若者に安全で守られた環境を提供し、子どもたちが日常生活を取り戻し、支援を受けながら自分の気持ちを表現できるようにしています」と、ユニセフの子どもの保護専門官、カタリナ・フェルナンデスは説明します。

「遊びやレクリエーション活動、心理社会的支援を通じて、子どもたちは新しい友だちを作ることもできますし、そして何より、子どもたちの健康に欠かせない『遊び』を取り戻すことができるのです」

ナザレスさんは、娘たちが子どもにやさしい空間で、それぞれの居場所を見つける様子を目の当たりにしました。

「子どもたちは決まったスケジュールの中で過ごしています。まるで小さな学校のようです。絵を描いたり、塗り絵をしたり、さまざまな活動に参加しています」とナザレスさんは話します。

娘たちに新しい友だちができたかたずねると、「うん、たくさんできたよ。ほとんどはユニセフの子どもにやさしい空間で出会った友だちなんだ」と答えてくれました。

ラ・グアイラ州に設置された一時避難所で、被災状況や支援ニーズを把握するため、被災者から話を聞くユニセフのスタッフ(ベネズエラ、2026年6月28日撮影)

© UNICEF/UN0876931/
ラ・グアイラ州に設置された一時避難所で、被災状況や支援ニーズを把握するため、被災者から話を聞くユニセフのスタッフ(ベネズエラ、2026年6月28日撮影)

ナザレスさんは母乳育児に関するアドバイスや心理社会的支援も受けています。避難所で活動する支援チームは定期的に彼女を訪ね、話を聞いています。

「ユニセフは私たちを見守ってくれています。スタッフは私たちのことをよく理解していて、定期的に様子を見に来てくれるんです。母乳育児支援のスタッフも、お医者さんもすぐそばにいます」とナザレスさんは話します。

この緊急事態のさなかでも、母乳育児をしている時間は、ナザレスさんにとって、ほっとできるひと時になっていて、赤ちゃんに向き合う助けにもなっていると言います。

「そうすることで、この子により一層気持ちを注ぐことができるんです」とナザレスさんは語ります。

お互いを支え合うコミュニティ

ラ・グアイラにある仮設避難所で、生後2カ月のマイロくんと13歳、10歳の娘たちの3人の子どもと非難しているナザレス・マルティネスさん(ベネズエラ、202

© UNICEF/UN0894644/Lopez
ラ・グアイラ州にある一時避難所で、生後2カ月のマイロくんと13歳、10歳の娘たちの3人の子どもと非難しているナザレスさん(ベネズエラ、2026年7月19日撮影)

避難所での生活には、今もなお先の見えない不安がつきまといます。ナザレスさんは家族が寝泊まりする場所を整え、周りの人々と声を掛け合いながら子どもたちの世話をしています。

「私たちは一日一日を必死に生きています」とナザレスさんは言います。

家族同士の助け合いの輪も自然と広がっています。近所の人たち同士、お互いを気に掛け合い、持っているものを分け合って生活しています。

「私たちはお互い助け合い、見守り合っているんです」とナザレスさんは話します。

また、家族同士で赤ちゃん用の服を譲り合うこともあります。

「小さくなってもう着られなくなった服は、必要としている人に譲るようにしています」とナザレスさん。

このような繋がりはナザレスさんの心の支えになっていますが、だからといって失ったものや恐怖が消えるわけではありません。親戚や知り合いの中には、地震による深刻な被害に苦しんでいる人たちもいます。ナザレスさんの兄はアパートを失いました。他の家族には、愛する人を失った悲しみを抱えて暮らす人もいます。

それでもナザレスさんは、3人の子どもたちのことを第一に考えています。彼女は子どもたちのことを「私の手の中に託された3つの命」だと語ります。

家族を支える、ユニセフの緊急支援

地震発生直後から、ユニセフは政府や国連機関、パートナー団体と連携し、子どもたちや若者、その家族への緊急支援に取り組んできました。

ラ・グイアラ州では、避難所に子どもにやさしい空間が設置されました。そこでは子どもや若者がレクリエーション活動や教育プログラムに参加できるほか、心理社会的支援や保護に関する情報の提供、必要に応じた専門的な支援を受けることができます。

また、ユニセフは保健、栄養、水、水と衛生、子どもの保護、教育の分野における支援を強化するため、支援物資を提供するとともに、追加人員の派遣を進めています。支援には、医療物資、水と衛生用品、緊急保健キットだけでなく、テントや子どもにやさしい空間で使用するレクリエーション用品が含まれます。

特に赤ちゃんと幼い子どもたちを守るため、ユニセフは保健当局や関係団体と協力し、緊急事態下でも母乳育児の促進・支援や、子どもの食事支援に取り組んでいます。

被災した家族が少しずつ前に進み始める中、ユニセフはすべての子どもが守られ、必要な支援をうけながら再び安心して過ごせるよう、引き続き活動を続けていきます。